

美しい東京をゆく
そばにあるサステイナブルな旅
自然を生かしたエコツーリズムや農山漁村に滞在するグリーンツーリズムが、「東京」で本当に体験できるの!? 今回の取材依頼をもらったとき、とっさに出てきたのは、そんな疑問でした。でもよく考えたら東京って、高層ビルが立ち並ぶ都心から電車でちょっと西へ行けばあっという間にのどかな里山風景が見られるし、非日常の島旅を楽しめる離島もある……。実にいろいろなエコツアーがあるではないですか! 今回は、東京の島しょ部、多摩西部、都心部の3エリアで、単純に私が「やってみたい! 行ってみたい!」と思ったエコツアーを体験してきました。どれも今まで知らなかった東京の魅力を発見でき、その地域社会や自然環境について考えるきっかけにもなりました。東京にはまだまだ知らない魅力がいっぱい。あなたも「東京」でエコツーリストになりませんか?
取材:こだまゆき
produced by


こだまゆき
知らない土地での朝食がなによりも楽しみなフォト派のライター。
iPhoneで撮るのも一眼レフで撮るのもどちらも好き。自由で気ままな女性ならではの目線で
旅のレポートをお伝えしています。執筆業は旅関連の他、デジカメ、雑誌コラム、インタビューなど。趣味は顔ハメパネル。
11ある東京の島のひとつ、
八丈島で多種多様な生物と
太古の自然に触れるアオウミガメが道案内!
八丈島の海を
スノーケリング東京本土唯一の村、
檜原村はエコツーリズムの
最先端スポット海抜マイナス2mを体験!?
東京のミニパナマ運河を
クルーズ
11ある東京の島のひとつ、
八丈島で多種多様な生物と太古の自然に触れる

海と空、二つの航路がある八丈島ですが、今回は羽田空港から飛行機で。途中機窓から見えた御蔵島や三宅島上空は晴れていたのに、八丈島は厚い雲が一面に島全体を覆っていて真っ白。でもいいのです、むしろ今回は。「雨が降ったり霧が出ているほうが葉の色がキレイですよ」。数日前に聞いたガイドさんの言葉を思い出しながら小雨降る八丈島空港に着陸しました。
最初にご紹介するのは「ヘゴの森ツアー」。ヘゴとは熱帯・亜熱帯性のシダ植物で、野生では高さ5m程にまで成長する木生シダのひとつ。ツアーではその生育地へ専門ガイドが案内してくれます。ヘゴをはじめとする多くのシダ植物が群生する景色はまるで恐竜の時代を彷彿(ほうふつ)とさせることから「ジュラの森」と称されることも。そんな「ヘゴの森」は私有地にあり、認定ガイドの同行でのみ入ることができる特別な場所です。

ツアーは、高低差70mを歩く「ヘゴの森の散策路全コース」と、比較的平坦(へいたん)な「ヘゴの森コース」の2コースあります。この日は雨が降った後で足場が悪かったため、ヘゴの森のみをゆっくり散策する後者にすることに。レインパンツに軽登山靴、上は透明ポンチョを羽織るという服装。首には虫よけ用にバンダナを巻いて、いざ出発! ガイドの石田さんのあとに続いて八丈一周道路の横道から十数メートル歩くと、景色は一変。ひとりだったら怖くて前に進めそうにない鬱蒼(うっそう)としたジャングルなのです。

年間3,000mm以上の降水量がある八丈島はコケやシダの宝庫。特にシダ類はリョウメンシダ、ジュウモンジシダ、リュウビンタイ、マメヅタ、ハチジョウベニシダなどヘゴの森だけで約40種類も見られるそう。「これは葉っぱの裏が白いからウラジロ。お正月のしめ飾りや鏡餅に使いますね」。そんな解説を聞きながら森の奥へと進みます。「これはアオノクマタケラン。島にはケーキを注文するとこの葉っぱの上に乗せて出してくれるカフェがありますよ」と、地元のお店情報もゲットすることができました。

杉林を抜けて小川が流れる平坦な場所に到着すると「あのヤシの木みたいに見えるのがヘゴです」と立ち止まった石田さん。「うわ~、すごい!」と思わず声が。雨にぬれて湿った黒い幹はにゅ~っと伸び、葉は空を覆い尽くすように大きく広がっています。ジュラの森とはよくいったもので、本当に草食恐竜が首を出しそう! そして聞こえるのは「チチチッ」という鳥たちの可愛らしいさえずりだけ。初めて見る風景に圧倒されてしまいました。「ここって東京……なんだよね?」と、ちょっと信じられない気持ちです。

鋭いトゲで覆われた若いヘゴの幹や、雨を吸って湿った絨毯のようになった苔にそっと触れてみる、ヘゴを見上げながら深呼吸して鳥の鳴き声に耳をすましてみる。雨の恵みがもたらすヘゴの森は、ちょっと鈍っていた好奇心や冒険心を刺激して、五感を研ぎ澄ましてくれるような場所でした。

自然散策、野鳥や植物が好きな人にオススメ。集合場所は八丈島空港から車で約20分、所要時間は1時間30分~2時間ほど。出発時間は10時と13時の2回。基本的に1回1組限定。要予約。人気のツアーなので早めの予約がおすすめ。
料金1名5,000円(税込み)、2名以上の場合は4,000円/1名(税込み)。
11ある東京の島のひとつ、
八丈島で多種多様な生物と
太古の自然に触れるアオウミガメが道案内!
八丈島の海を
スノーケリング東京本土唯一の村、
檜原村はエコツーリズムの
最先端スポット海抜マイナス2mを体験!?
東京のミニパナマ運河を
クルーズ