2025年2月15日(土)、「あしたの東京プロジェクト」のイベント第3弾となる「東京ランタンセレモニー」が、新宿区の東京都庁 都民広場で開催されました。抽選で選ばれた都民がランタンに“あしたの東京への願い”を描き、空に打ち上げる今回のイベントには、タレントの関根勤さん・関根麻里さんもゲストとして参加。本記事では、来場者が一体となって東京の魅力を共有した、当日の様子をレポートします。
東京都民に地元・東京の魅力を体感してもらう、参加型イベント「あしたの東京プロジェクト」。多摩地域での「多摩フォレストツーリズム」が2024年10月5日に、島しょ地域での「神津島サステナブルツーリズム」が2024年11月23日~24日に開催され、それぞれの地域の地場産業や豊かな自然など、参加者が知らなかった数多くの東京の魅力が再発見されてきました。
これらのイベントと並行して実施されてきたのが、「デジタルランタンキャンペーン」です。上記2つのイベント開催場所での実施に加え、特設サイトからオンラインでも参加できたこのキャンペーンは、オンライン上のランタンにあなたが住む街“東京”の「魅力」や「未来への願い」を自由に描く企画。集まったメッセージは、イメージ動画として編集され、特設サイト上で2025年3月下旬まで公開されました。
特設サイトからの参加は2025年2月15日をもって終了しました。
そして、これらの取り組みを経て、2024年度の「あしたの東京プロジェクト」を締めくくるフィナーレイベントとして実施されたのが、今回の「東京ランタンセレモニー」です。抽選で選ばれた参加者がLEDランタンに自身の思いを書き込み、東京の空に打ち上げます。
今回、打ち上げるランタンの明かりにはLEDを用いることで、発熱量を抑え、子どもから大人まで誰もが安全に楽しむことができるようにしています。また、糸を付けて打ち上げることで使用後の回収も可能で、環境にも優しい作りになっています。
冷たい空気の中にも少しずつ春を感じる、2月15日の夕方。会場となる東京都庁 都民広場に設置されたブースが、メッセージを書き込む参加者でにぎわい始めました。用意されたのは、色とりどりの和紙を素材としたランタン。中には風船が封入されており、ヘリウムガスで浮かぶ仕組みです。内側からの光により、ほんのりと文字が照らされます。
書き込まれたメッセージは「みんなが笑顔のすてきな場所になりますように」「人情味あふれる東京でありますように」「日本の古き良き創意工夫で、新しさを世界に発信して、希望をもって暮らせる東京に!!」など、さまざまです。かわいらしい挿絵を描く子どもの姿もありました。
また、会場内にはデジタルランタンキャンペーンのブースも設置。イベント来場者も書き込みを行っており、「世界中のグルメが楽しめる」「孫たちが住みやすい街に」など、それぞれの思いが集まりました。
さらに、東京都と民間企業が共同で開発する「東京おみやげ」の紹介コーナーにも、多くの人が集まりました。小紋柄の青海波が使用された扇子「江戸扇子青海波(Tokyo Tokyo Version)」、東京都指定の伝統工芸品「江戸木目込人形」の技術でつくられた「招き猫」など、伝統を取り入れながらもモダンなデザインに仕上がった工芸品や菓子が並び、東京の技巧が発信されました。
いよいよイベントがスタートです。「あしたの東京プロジェクト」のコンセプトが参加者に向けて説明されたのち、「多摩フォレストツーリズム」「神津島サステナブルツーリズム」のダイジェスト動画をステージ上で上映。森林や星空、水など、自然の資源を生かした林業や観光業を学んだ両イベントが、参加者の楽しげな表情とともに共有されました。
その後、MCの掛け声とともに、スペシャルゲストが登場。東京都出身でタレントとして活躍する関根勤さん・関根麻里さん親子です。これまでのプロジェクトの様子を動画で確認した二人は、「東京の40%が森林であることには驚きました。材木が永久に人間の手で再生できる資源であることも、素晴らしいと感じます」(関根勤さん)、「神津島の星空がとても綺麗で、一度この目で見てみたいと思いました」(関根麻里さん)と、感想を述べました。
また二人は、それぞれの「東京の好きな場所」についてもコメントしました。
「新宿、渋谷、有楽町などの繁華街もあれば、新宿御苑や自然教育園など、自然が残る場所もある。世界各国の料理が食べられるのも楽しいですね。これらを地下鉄やバスで乗り継ぐことで、どこにでも行けるのが魅力です。車よりも時間が正確なので、公共機関はよく使用します」(関根勤さん)
「下町や伝統的な観光名所、商店街もありながら、最新スポットやグルメもそろい、さまざまな世代が楽しめると感じます」(関根麻里さん)
東京で生まれ、大学時代にはアメリカに留学したという関根麻里さんは、海外から帰ってきたことで、改めて東京の魅力を感じたそうです。
「東京の便利さ、清潔さ、安全性を強く感じました。海外の友人が日本に来た時も、街がきれいで、人も優しいと言ってくれます」
また、東京の魅力を国内外にPRするアイコン「Tokyo Tokyo」の右上に記載される「Old meets New」というスローガンの由来が、江戸から続く「伝統」と最先端の「革新」が共存する街を示しているという説明がMCからされると、二人は時代とともに変化する東京の魅力について思いを述べました。
「浅草などの風景は、昔から変わりません。一方で新宿や渋谷は次々と変化して、追いつけないほどです。3年ほど前の春、新宿御苑を1人で散歩したのですが、周りは2〜3人のグループが多く、少し寂しい思いをしました(笑)」(関根勤さん)
「庭園や寺院なども、昔ながらの風景を楽しめます。個人的には東京都庭園美術館がお気に入りです。一方、新しい街といえばお台場ですが、ドッグフレンドリーな街で、犬と家族でよく出かけた思い出もあります」(関根麻里さん)
長年東京で暮らしてきた関根勤さんと関根麻里さん。お二人ならではの思い出を語り合っていました。
トークショーが終わると、プロジェクトに関するクイズコーナーが始まりました。これまでイベントを行ってきた、東京の多摩・島しょ地域に関するクイズに、ゲストの二人が挑戦。来場者も一緒に楽しめる、参加型の企画です。
第1問は、「多摩フォレストツーリズムでは東京の森にフィーチャーしました。そんな森林を長く健全に保っていくためには、人の手を加えず自然の姿を保った方が良いでしょうか?」というクイズ。お二人は「いいえ」を選択し、見事正解となりました。
その他、多摩産材などの国産材を使うメリット、神津島へ移動する飛行機の所要時間、美しい星空を守るために神津島観光協会が実施した取り組みなど、多種多様なクイズに、ゲストの表情は真剣そのもの。MCによる解説とともに、参加者が一体となって多摩・島しょ地域への理解を深めていきます。
まだ見ぬ東京の奥深さに、皆が好奇心を刺激されるひとときになりました。
徐々に空が薄暗くなり、ランタンの打ち上げ時間が近づいてきました。今回、関根勤さん・関根麻里さんもメッセージを用意。関根勤さんが記入したのは「みんなに優しい東京」という言葉でした。
「東京は交通も便利で、おいしい食べ物もそろい、劇場などの楽しい空間、自然もたくさんあります。誰にでも優しい街だと感じました」(関根勤さん)
一方、関根麻里さんのメッセージは、「笑顔あふれる東京」です。
「東京のさまざまなスポットを巡っていると、街には笑顔があふれています。みんなが笑顔になれる東京になってほしいと、願いを込めました」(関根麻里さん)
そしていよいよ打ち上げです。MCによる説明の後、会場の参加者はランタンをつなぎ留めるひもを緩めます。関根勤さん、関根麻里さんと共に、皆が声を上げて「10、9、8…」とカウントダウン。「0」のタイミングで、一斉にランタンが空高く上がりました。
ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、オレンジと、色とりどりに輝き、新宿の空を照らすたくさんのランタン。都民広場の空に、光がゆらゆらと舞う美しい光景が広がり、会場には歓声と拍手が響きます。さらにスクリーンには、キャンペーンで集まったデジタルランタンが投影。たくさんの人々の思いが集まり、都民広場を埋め尽くしました。一日限りの特別な“新しい景色”は、多くの人の胸に刻まれたはずです。
当日会場にお越しいただいた参加者の皆さんに、今回のイベントの感想を聞きました。
「台湾でランタンを打ち上げたことがあり、楽しい体験だったので、娘にもさせてあげたいと参加しました。娘は絵が好きなのですが、ランタンにたくさん描けたので、良い思い出になりました」(板橋区在住)
「ランタンのイベントを探しており、運良く当選したので、家族で参加しました。幼い娘も含め、一人一人に風船が配られるのが親切でした。子どもたちを育てやすく、子どもたちも住みつづけたいと思える街になってほしいです」(港区在住)
「毎年東京都のランタンイベントに応募しており、今年初めて当選しました。動画を通じて神津島の美しい風景を知り、いつか行ってみたいと感じました。こども食堂などが増えていますが、子どもたちが空腹に困ることがないよう、『みんながお腹いっぱい食べられますように』と願いを書きました」(新宿区在住)
「三宅島から一人で参加しました。さまざまなものが便利になった現代ですが、人との付き合いなど、忘れてほしくない部分もあるため、ランタンには『原点回帰』と書き込みました。島しょ地域では昔からの伝統を守る努力をしています。若い世代にも受け継がれてほしいです」(三宅村在住)
「『人にやさしい』というメッセージを書き込みました。さまざまな社会問題がありますが、思いやりが解決してくれる部分は大きいと思います。こうしたポジティブな取り組みが、SNSを通じて広がると素晴らしいと感じます」(江東区在住)
こうして「東京ランタンセレモニー」は無事に終了。運営に携わった東京都 産業労働局 観光部の菅野さんは、「『あしたの東京プロジェクト』は、今年度で3年目を迎えました。都民の皆さんが普段住んでいる東京にも、まだまだ知らない部分も多いはず。多様な風景に触れることで、もっと東京の魅力に出会ってほしいと、プロジェクトに思いを込めてきました。その集大成が、今回のフィナーレです。皆さんの願いが一つになった新宿の空は、かけがえのない風景になりました。私たちは今後も、東京の魅力をたくさんの人に発信していきたいと思います」とイベントを振り返りました。
「“地元”東京のことがもっと好きになる」を目指し、多くの方に参加いただいた、今年度の「あしたの東京プロジェクト」。多摩・島しょ・区部3つのエリアで開催したイベントでは、さまざまな方のご協力の下、豊かな自然や地場産業、伝統と革新が融合する東京の先進性など、多くの風景を皆さまに届けることができました。
参加者同士、都民同士がつながることは、より良い東京の未来につながるはずです。都民の皆さまに東京の「いいところ」を体感してもらうべく、今後も取り組みを継続していきたいと考えています。ぜひTokyo Tokyo公式サイトやSNSで最新情報をチェックしてください。