Tokyo Tokyo×博物館に初もうで リアルとバーチャル文化体験

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2024年1月から、東京国立博物館において「Tokyo Tokyo×博物館に初もうで リアルとバーチャル文化体験」が開催されました。『博物館に初もうで』は、今年で20年目を迎える、東京国立博物館恒例の新春企画です。江戸時代の文化を鑑賞・体験できるこの企画は、国内にとどまらず海外からも多くの観光客が集まる、人気のイベントです。
今回はTokyo Tokyoとコラボレーションし、特集展示のほか、伝統芸能を実演する新春イベントやバーチャル空間での展示も開催。新春を祝う華やかな江戸・東京の魅力を発信しました。

由緒ある東京国立博物館正面玄関で東京の伝統芸能を披露

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1月2日と3日の2日間、東京国立博物館の本館正面玄関前の特設ステージで、東京を代表する伝統芸能「葛西囃子中村社中(獅子舞)」と「湯島天神白梅太鼓(和太鼓)」の一行が演技を披露しました。現在の本館は、関東大震災により損壊したため、昭和天皇の御即位を記念して建設が計画。帝冠様式を用いて建てられ、平成13年に重要文化財に指定されました。そんな歴史ある舞台の両サイドには、伝統と革新を表現したTokyo Tokyoのバナーを設置し、会場を彩りました。さらに今年は、各演目が始まる前のアナウンスを日本語だけでなく英語でも実施。今回の取り組みやコンセプトを、国内外問わず様々な方へお伝えできるよう工夫を施しました。
当日、日本の伝統芸能を一目見ようと、集まった観客は総勢約9,000人。大迫力でリズミカルな太鼓の音に合わせた躍動感あふれるパフォーマンスや、囃子や獅子舞の独創的で優雅な動きに、観客一同は釘付けとなりました。多くの方がスマートフォンを片手に撮影する姿もみられ、晴れやかで縁起の良い日本のお正月を堪能する機会となりました。

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館内での特集展示では、今年の干支である辰をテーマにした作品や、長谷川等伯筆の国宝「松林図屏風」をはじめ、新年の訪れを祝した吉祥作品の数々が展示されました。館内通路にはTokyo Tokyoのバナーが飾られ、新春にまつわる展示会場を巡りながら、貴重な文化財を通じて華やかな江戸文化に触れることができました。

国宝を身近に感じられるバーチャルトーハク

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第1部 「国宝を《知る》」バーチャル展示空間
制作・著作:東京国立博物館・文化財活用センター・凸版印刷株式会社

今回の目玉の一つである、「バーチャル東京国立博物館(バーチャルトーハク)」は、メタバース空間に東京国立博物館を再現したバーチャルミュージアムです。来場者はアバターとしてこの空間に入り、Tokyo Tokyoのアイコンが飾られた本館入口から館内へ進むと、《知る》《親しむ》の2つのパートが現れます。
《知る》では、東京国立博物館が所蔵する89の国宝に関する基本的な情報が掲載されており、360度さまざまな角度から展示を鑑賞することができます。一方《親しむ》は、国宝「八橋蒔絵螺鈿硯箱」「松林図屏風」の世界観に没入できるイマーシブ展示で、空間内に配置されているオブジェクトの一部を自由に動かし、隅々まで鑑賞することが可能です。他にも、新春イベントで披露された和太鼓の演奏やTokyo TokyoのPR映像も含まれ、盛りだくさんの内容となりました。
気になる箇所を拡大したり、ぐるりとまわして裏側を見るなど、普段展示制限がある国宝を、多様な視点から楽しむことができる今回の取り組みは、バーチャル空間ならではの魅力となっています。

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バーチャル 東京国立博物館 本館入口イメージ
制作・著作:東京国立博物館・文化財活用センター・TOPPAN株式会社

バーチャル空間で実現した「いつでも誰でも博物館に来て欲しい」という思い

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「日本美術は素材が脆弱なものが多く、国宝・重要文化財は展示による劣化が懸念されることから、年間で60日までと展示制限があります」と語るのは、東京国立博物館の竹之内さん(写真右)、内尾さん(左)。文化財の劣化を防ぐため、東京国立博物館では年間300回以上の展示替えをしているそうです。
「多くの人に国民共有の財産であり、伝統のある文化財をご覧いただきたいという思いがある一方で、国宝・重要文化財を保存し、後世に残す使命を、我々は担っています。そのような思いを叶えるために、今回メタバース空間を活用することになりました。この空間では、住んでいる場所や地域、時間を問わず、いつでもどこでも日本が誇る国宝の世界に入り込み、世界観を体験することができます。最先端技術が集結する東京だからこそ実現できた、貴重な場だと感じています」

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第2部 「国宝に《親しむ》」 国宝「八橋蒔絵螺鈿硯箱」をテーマとした展示空間
制作・著作:東京国立博物館・文化財活用センター・TOPPAN株式会社

また、今回のTokyo Tokyoとのコラボレーションは、東京の文化が集う上野という街全体の魅力を発信することにもつながったそう。
「将来的には東京のカルチャースポットである上野という街全体とTokyo Tokyoが一体となって、東京の魅力をより多くの人に伝えたいと思っています。たとえばニューヨークの美術館では、街を挙げて芸術資源を保全するための活動が積極的に行われています。上野には博物館、美術館、動物園や大学などさまざまな資源が集結しているので、そのような資源を最大限に活用し、街を挙げて東京の魅力を発信するような活動ができたら良いですね」と語ってくれました。

バーチャルとリアルが融合した、東京の文化体験

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お正月の新春イベントからバーチャル展示まで、まさに『リアルとバーチャル』で江戸時代の文化体験を提供した、「Tokyo Tokyo×博物館に初もうで」。東京の今昔が集う上野エリアから、伝統を最先端の切り口で沢山の方々に伝え、東京の魅力を発信する絶好の機会となりました。