サステナブル建築を探す旅へ
建築は長い間、人々が世界中を旅する目的のひとつとして親しまれてきました。東京には、歴史ある神社から最先端の高層ビルまで、世界的にも有名な建築物が多く点在しており、その中には、美術館や展望台、ショッピングセンターなど、観光客が楽しめるスポットがたくさんあります。
近年、東京をはじめとした世界の都市で広がりを見せている考え方に、「サステナブル建築」というものがあります。サステナブル建築は、地球環境や地域社会への悪影響を最⼩限に抑えながら、将来にわたり⼈にとってより良い⽣活環境をつくることを目指しています。
この記事では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の舞台となった国立競技場をはじめ、新たに生まれ変わった渋谷の商業施設、街に溶け込むオフィスビルの隠れたサステナブルな一面について、紹介していきます。
東京が世界に誇る
サステナブル建築・
国立競技場サステナブルな
ライフスタイルを
提案する渋谷パルコ隠れたサステナブル建築・
鹿島赤坂別館サステナブルな視点で
東京の建築を再発見
東京が世界に誇るサステナブル建築・国立競技場
都内有数のエンターテインメントエリアとして知られる新宿区。世界一の乗降客数を誇る新宿駅を中心に、デパートやレストラン、バー、ナイトクラブなどが軒を連ねる、活気に溢れた人気のエリアです。
そんな新宿区の南端、スポーツ・文化施設や公園からなる明治神宮外苑に建つ国⽴競技場は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとして使⽤されたことで、記憶に新しいでしょう。国⽴競技場の建設にあたっては、省エネルギー設計や周辺環境との調和、すべての人にとって使いやすいユニバーサルデザインといった、サステナブル建築にとって大切な要素が数多く取り入れられました。
設計を担当したのは、日本を代表する建築家のひとり・隈研吾氏。スタジアムの外観は、世界最古の木造建築である奈良の法隆寺からインスピレーションを受けたデザインになっています。木製の軒庇(のきびさし)部分には、47都道府県から集められたSGEC/PEFC認証林の木材を使用。この認証は、環境保全や生態系への配慮など、一定の条件を満たした持続可能な方法で森林が管理されていることを証明するものです。すべての都道府県から木材を調達するというこの取り組みを通じて、それまでに認証林を持たなかった県においても、林野庁や地方自治体、地元企業などの協力を得ながら認証林が確保され、資源循環型の社会に寄与する結果となりました。
また、省エネ・環境配慮型の設計も随所に施されています。そのひとつが、風の力を使って場内の熱を外へと排出する仕組み。外を吹く風が最上段の庇から場内のアリーナ部分に誘導され、フィールドにこもった熱が天上から上空に抜けていくため、観客席は快適な温度環境に保たれます。さらに、ガラス屋根部分には太陽光パネルを設置し、25キロワットの発電容量で競技場内の電気を供給しています。
スタジアム内の環境配慮はもちろんのこと、周辺環境に配慮した外観の構造も特徴のひとつとなっています。明治神宮外苑の景観と調和を図るため、観客席をコンパクトに配置し上部をフラットな屋根構造にすることで、高さを抑えました。さらに、外周には約47,000本の植栽を配置し、周囲の緑と一体化された広場を設計しました。障がいや年齢、性別、国籍によらず誰もが快適に利用できるよう、ユニバーサルデザインの考え方に基づいたサイン設計や、高齢者や目の不自由な方も安心して利用できるトイレの設置、授乳室や託児室の完備なども行っています。
ここに紹介した内容は、国⽴競技場が取り組むサステナビリティのほんの⼀部に過ぎません。現在、国立競技場では2種類のスタジアムツアーを用意し、これらの取り組みについて紹介しています。選⼿のロッカールームや競技トラックなど、普段は見ることのできないエリアを見学できたり、スタジアムの全景を見渡せる展望エリアに入れたりと、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の記憶と共に楽しみながら学ぶことができる、大変人気のツアーです。
サステナブル建築として、魅力溢れた国立競技場へ、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
東京が世界に誇る
サステナブル建築・
国立競技場サステナブルな
ライフスタイルを
提案する渋谷パルコ隠れたサステナブル建築・
鹿島赤坂別館サステナブルな視点で
東京の建築を再発見