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街によって全く異なるカルチャーが
根付いているのが東京の魅力

vol.2

蜷川実花写真家・映画監督

写真家、映画監督と多彩な顔を持つ蜷川実花さん。これまでに東京を題材にした作品を数多く世に送り出してきました。そんなにも蜷川さんを惹きつけてやまない、東京の魅力とは一体?そして蜷川さん流の東京の楽しみ方についてお聞きしました。
東京生まれ、東京育ちの蜷川さんにとって、
東京はどんな街でしょうか?
東京生まれ、東京育ちの蜷川さんにとって、<br class="u-is-pc">東京はどんな街でしょうか? イメージ 1

©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

東京は、街によって雰囲気が全く異なり、どこを切り取っても違う世界が広がっています。同じ都市なのに西と東でこれだけ景色や文化が違うって、本当におもしろいと思いませんか。エリアだけでなく、一駅一駅で空気ががらりと変わるのも東京ならでは。たとえば山手線の渋谷、原宿、代々木、新宿、新大久保あたりは、隣の駅まで電車で3分程度しか離れていないのに、カルチャーが全く異なる。
都市開発によって利便性がグッと高まっても、その街が持つ独特の空気感は色濃く残っています。
大都市なのに、そこに伝統と革新がうまく共存し合い、変化し続けているからこそ、色褪せないおもしろさがある。どんなに街が変わっても、誰も拒否せずに、受け入れていく、そんな懐の深さも東京らしさだと思います。
蜷川さんはSNSでも東京の街並みの
写真をたくさんアップ
されています。
どんな景色に惹かれるのでしょうか?
蜷川さんはSNSでも東京の街並みの<br class="u-is-sp">写真をたくさんアップ<br class="u-is-pc">されています。<br class="u-is-sp">どんな景色に惹かれるのでしょうか? イメージ 1

もちろんその街を象徴するような場所にも強く惹かれますが、普段生活している東京の新たな一面を見つけたときに、思わずシャッターを切りたくなります。東京は、時間帯によってもそうだし、天候によってもまるで違う表情を見せてくれるんです。たとえば良く晴れた早朝。人がまだ動き出していない時間帯に都内を巡ると、朝焼けの東京スカイツリーや東京タワー、高層ビルに映る朝日や空が何とも言えない色彩を帯びて、情緒的な景色を拝めます。
雨の夜もお気に入りです。街頭やネオンの光が濡れたアスファルトに反射していて幻想的。雨だと出かけるのが億劫になりますが、私は雨が降り始めると、いつもと違う景色が見られるので、ワクワクします。車やタクシーに乗って、水滴がついた窓ガラス越しに映る大都会を眺めたり、普段ならやり過ごしてしまうような景色を繊細にキャッチして、丁寧に体感することで、心にもゆとりが持てるような気がします。

蜷川さんが監督を務められた、
ONE PIECEのミニドラマ
『WE ARE ONE.』にも
東京の
あらゆる風景が映っていますよね。
蜷川さんが監督を務められた、<br>ONE PIECEのミニドラマ<br class="u-is-sp">『WE ARE ONE.』にも<br class="u-is-pc">東京の<br class="u-is-sp">あらゆる風景が映っていますよね。 イメージ 1

これまで江戸も含め、東京を題材にした映画やドラマ作品も多く手掛けてきたので、都内で撮影することも多いのですが、まだまだ知らないスポットがたくさんあります。慣れ親しんだ場所であっても、視点を変えてみると新たな魅力を発見できるので、ついつい東京の風景を映像作品に使いたくなるんです。
『WE ARE ONE.』も東京のさまざまな街でロケ撮影を行いました。墨田川沿いにある部屋での撮影は、普段見ている角度とは違うアングルから墨田川を見ることができたので、下町の良さを改めて実感したり、蒲田にあるデパートの屋上遊園地での撮影は、「こんなところまだあったんだ!」と懐かしさがこみあげてきて。その場所の空気感を生かしながら登場人物のリアルな感情を、物語に落とし込むことができました。
2022年4月公開の映画『ホリック xxxHOLiC』にも、いろいろな東京の風景が映り込んでいます。特に夜景が好きなので、東京の夜のシーンが多いですね。歌舞伎町でも撮影したのですが、ロケ中に歌舞伎町のど真ん中に不思議なオーラを放つ「歌舞伎町弁財天」という神社を発見して。歴史を調べてみたら、今の歌舞伎町って、昔は沼地だったようで、この弁財天様がずっとこの街を見守ってきたそうなんです。新宿は、小さい頃から父親に何度も連れて行ってもらったし、父の青春の場所でもあるから、いつか新宿を舞台にした作品を撮りたいと思っています。
東京への思いを強くお持ちですが、
ズバリ東京の魅力は何でしょうか?
東京への思いを強くお持ちですが、<br>ズバリ東京の魅力は何でしょうか? イメージ 1

©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

いつの時代も東京が刺激的でエネルギッシュだから。表があるから裏があるし、影があるから光が見えてきたりする。いろんなノイズがあって、大衆の欲望が渦巻いているから、刺激的でエネルギッシュなんです。その渦の中心が、大都市・東京で、そんな混沌の中からしか生まれてこないことが、私のモノ作りの原点になっています。
たとえば私の作品には東京タワーが頻繁に登場するのですが、東京タワーの一部って、実は戦車の鉄で作られているんです。さまざまな歴史や文化が重なり合っているからこそ、ドラマチックで、湿度があって、強いパワーを感じます。そんなふうに、懐かしさ、新しさ、禍々しさなどが入り混じっているのが、東京の一番の魅力だと思います。

ずっと東京にお住まいですが、
蜷川さんにとって東京はどんな場所ですか?
ずっと東京にお住まいですが、<br>蜷川さんにとって東京はどんな場所ですか? イメージ 1

私は生まれてこのかた東京にしか住んだことがなく、仕事やプライベートで国内外のさまざまな場所に行きますが、東京以外に住みたいと思ったことがありません。最近、私の周りで地方移住を考えている人が多いんですが 、私はずっと東京にいたいなぁと思って。その素直な感情に触れて、「あ、私って東京に“地元愛”や“郷土愛”を感じていたんだ!」と改めて実感しました。
東京の人って、東京が地元という感覚があまりないと思うんですけど、私は地元意識を持っています。だから東京を拠点に活動するスタンスは一生変わらないと思います。最近、東京にいくつか別荘を持って暮らしたらすごく楽しいかもしれないと、ふと考えます。渋谷や代官山あたりの中心部に1つ、上野浅草方面に1つ、多摩方面に1つとか、都内に複数の拠点を持って、その日の気分によって帰る場所を選びながら、東京ライフを過ごせたら毎日が刺激的だろうなと思ったり…。街の雑踏、人の声などさまざま雑音がある方が心地よく生活できるので、東京での暮らしが性に合っているんだと思います。考え事するときも、渋谷のスクランブル交差点を歩いたり、カフェに行ったりして、あえて都会の喧騒に囲まれることで、思考がクリアになるんです。さまざまなものから刺激を受けることが、自分の成長にも繋がっていると思います。
最後に蜷川さん流の東京の
楽しみ方を教えてください。
最後に蜷川さん流の東京の<br class="u-is-sp">楽しみ方を教えてください。 イメージ 1

©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

東京って本当に多彩で表情豊か。住んでいると身近過ぎて、魅力に気づかないことも多いけれど、旅行者のような視点を持ち、ショートトリップ感覚で東京を巡ってみるのがおすすめですね。私は東京のホテルを利用することもけっこうあるんですが、1泊するだけで、慣れ親しんだ街でも、全然違う風に見えて、すごく新鮮なんです。脚本を書いたり、その街の景色を写真におさめたり、今でいう「ワーケーション」ですよね。普段とは異なる環境に身を置くことで、発想が柔軟になりますし、いろんな発見があるんです。最近は働き方も多様化してきたし、都内にもB&Bやホテルなど手ごろな宿泊施設も増えてきたので、東京でワーケーションするのもいいですよね。

蜷川 実花 / Mika Ninagawa イメージ蜷川 実花 / Mika Ninagawa イメージ
蜷川 実花 / Mika Ninagawa
写真家、映画監督。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)監督。2018年から2021年に全国の美術館を巡回した個展「蜷川実花展—虚構と現実の間に—」は各地で好評を博し、のべ約34万人を動員した。監督を務めた最新映画『ホリック xxxHOLiC』が2022年4月29日公開予定。
https://mikaninagawa.com/